リッチ・フライト

またまた憂鬱なプログラマによるオブジェクト指向日記2004/02/19の記事から。記事の内容には大賛成である。自分も中学から私立に通っていたが、これだけは親に感謝している。仮に自分に子供ができたとしても(今のところ作る気はさらさらないが)、中学は私立に通わせるだろう。小学校までは世の中の理不尽さを味あわせるために公立でいいと思う。「詰め込みは教育はいけない」「子供たちにゆとりを」と言ったはいいものの、「ゆとり」と「甘やかし」を混同して「我慢」することのできない子供を大量生産するのだったらまだ「詰め込み教育」をしたほうがいい。そうでもしないとこらえ性のないバカばかりが世の中にあふれることになる、っていうかこれはほぼ確定。それはさておき、上の記事で気になったのはここ。

集団におかしな人間が混ざってきたり、集団全体の質が低下すると、優秀な人々はそこから逃げ出そうとする。

これって、今の日本経済にも全く当てはまると思う。いつまでたっても進まない経済の合理化。際限なく投入される税金。いうまでもなく税金は日本国民の懐から出ているわけだが、金が足りなくなれば、「持ってる奴から取ればいい」という理屈がまかり通る(実際最近の日本の税務署はこのポリシーを取っているようです)。金持ちにすれば、厳しい競争に勝ち抜いて得た金を自分が負かした相手に分け与えていることになる。国家はもちろんこの「富の再配分」機能をある程度果たすべきではあるが、現在の日本ではこの機能が強すぎ、かつ極めて複雑な仕組みになっているため、不透明であり、公平性を著しく損なっている。バブル崩壊以降、多くの日本企業で合理化が進められたが、それが一段楽してみたら、合理化されずに残っていたのはなんと国家システムだったというのは笑えない。肥大化した自分たちのシステムを合理化せずに金を持ってる奴に「金を出せ」というのはヤクザ以下のアホだ(最近はどうだか知らないが彼らとて「指を詰め」て落とし前をつける)。アホにはまともに付き合ってられないから、金持ちは日本を見限って海外に逃げ出す。これはリッチ・フライトともいうべき現象だ。最近は金融も自由化され、インターネットによって地理的制約が弱くなってきているため、金持ちが国外に逃げ出す条件はいつになく整っている(ここで言う「金持ち」とは個人に限らず収益性の高い企業も含まれる)。国税収入の推移を見るとわかるが、近年の税収減は所得税+法人税の減少分とほぼ同値である。
2000年から2003年にかけての総租税収入は以下のように推移している。

  • 総租税収入 50兆円→42兆円 8.9兆円↓
  • 所得税+法人税 30兆円→23兆円 7.6兆円↓

つまり、税収減にの主な原因は所得税+法人税の減少であると言える。いくら不況でも個人や企業の税収が2/3(しかも数年で!)になっているということは単純に考えて所得も2/3になっているということであり、これは全てが不況だからとはいえないだろう。以前に日本社会の階層化が顕在化するなどと書いたが、上層部(優良企業と高所得者)はみんな日本から逃げ出してしまって、気が付いたら日本にいるのはカス企業と低所得者だけ、なんてことになりそうで恐ろしい。

※参考サイト
わが国税制・財政の現状全般に関する資料 日本財務省