ツトムくん

最近食べたものばかりしか書いてないのでストックから引っ張り出してみる。
高橋ツトム地雷震 ISBN:4063602125 文庫版1巻
この人の最近の著作であるところの『スカイハイ』がドラマ化されたが、この人がヤンジャンに連載しているものは短すぎて消化不良に陥っているような気がする。『地雷震』は作者の初?の連載もの。何がすごいって始めと終わりごろの絵柄が違いすぎる。初めのほうは永井豪とか石川賢っぽい感じだが、中盤あたりから今の特徴である迫力のある絵が出てくる。刑事モノのストーリーだが、別に常に追い求める相手がいるわけではなく、逆に主人公の刑事という身分にもかかわらず人を人とも思わないやり方で事件を解決しようとするためか、恨みを買うことも多く、同僚やその家族が巻き添えになって死んだりもする。読み終えてすっきりすることはなかったりするのだが、単純な勧善懲悪という構図にもはまっていないし、ありがちな「過去に心に傷を負ったままそれを隠してうんぬん」といったものも語られない。ただ自分の行く手にふさがる犯人を自分のやり方で追い詰めていくだけ、それで他人が迷惑しようが構わないという主人公像が描かれている。そのせいか読み手が主人公の飯田響也という人物に同化することはあまりないだろうし、主人公の心理描写をしないことで、主人公を誰からも触れられない領域にとどめることに成功していると思う。主人公を孤高の領域に置くのはハードボイルドの典型なのかもしれないが、あまりそういう類の本を読んだことがないのでよくわからない。ちなみに最近文庫化されたので買いやすくなっている。モーニングに連載していた『鉄腕ガール』もいい。こちらも文庫化されているらしい(ISBN:4063607313 文庫版1巻)。