人は変わるか

半壊したHDDから救出した過去のメールデータを何気なしに見ていた。2000年3月あたりから始まっている履歴を覗いてみると、当時の自分の精神状態が今と随分違っていることを実感する。当時は軽くボケてみたりとかやたらはしゃいだ文面が多く(実際そのときにはしゃいでいたかは別として)、方向性が正しいかはともかくサービス精神旺盛で、「人から悪く思われないようにしよう」という思惑が透けて見えていて気持ち悪い。今でもこの手の感情は半ば染み付いたように振り払えないが、以前に比べれば随分と隅に追いやられているような気がする。「別にどう思われてもいいじゃん」とか、「愛想を振り撒くのがもはや面倒くさい」といった気分が大半だからなのだろう。山奥に引っ込んで仙人生活をしていると、仕事以外で人付き合いとかする気にもならないし実際同じテーブルについても共通の話題のなさに愕然とする。さりとて話題を探す努力もしないのだが。かくして友達の数はどんどん減っていき、たまに会う友達とも彼岸の差を認識することになる。それでも何とかしようとはあまり思わない。いらない荷物を次々と捨てていくような一種の爽快感を感じる。深い水の底をゆっくりと歩いているような感覚を覚えるが、たまに喧騒の中を歩くとくらくらする。