シベリア超特急1996年 日本
最近『D.O.A.』あたりから続いているP級映画(A級、B級、C級・・・と来てのP級)祭りだが、『北京原人』や『デビルマン』にも負けず劣らずの映画だった。マイク水野氏によるマイク水野のための自己満足の映画なのだが、テイストが古すぎる。子どもの頃昼間にやっていたサスペンスドラマ(しかも70年代後半から80年代前半くらいの再放送で男はダブルのスーツに七三わけ、女はやたらと濃い化粧)を見ているかのような錯覚に陥る。セットのしょぼさがその感覚に拍車をかける。出てくる役者がこれまたアレ過ぎる。かたせ梨乃の使い方がよくわからない。東欧人と中国人の二役で出てくるのだが、まんま梨乃で20代の、しかも東欧人を演じさせるとはずうずうしいにも程がある。あと、脇を固める連中も大根だったり、外人ばっかりで冒頭でひとりひとり説明がましく紹介されるにもかかわらず、誰が誰だかわからない。そして肝心の山下将軍を演じる水野氏だが、これもひどい大根。そもそも「山下将軍に」、「シベリア特急で」、「殺人事件を」解決させる意味がよくわからない。ネタとして山下将軍を引っ張ってきたのはただ単に「水野晴郎が似てるから」というしょうもない理由しかないわけで必然性を感じない。さらに、伏線を張っているつもりなのかもしれないが、その提示のされ方があまりに唐突なので見てる側は伏線とも思えない。最後の「戦争はいかん」という棒読みのセリフに自分の中の全米が泣いた。確実に。あと、最後の2度の「どんでん返し」が売りらしいのだが、それまでのあまりのアレぶりに半ば頭が麻痺していたのか別になんとも思わなかった。こういう映画に出るあたり、かたせ梨乃って、ツボを押さえてるよなあと思ってしまう。ちなみに僕はかたせ梨乃主演の「名探偵キャサリン」シリーズが大好きで、キャスティングのセンスに卒倒しそうなくらいだ。かたせ梨乃に西岡徳馬って、ズルすぎる。日本人のくせに「キャサリン」なのは本名が「希麻倫子」(きあさりんこ)だからというのは割と最近知ったというのはここだけの秘密。